「のぞき屋のトマス」を読む
滅法、面白かった「疑り屋のトマス」の続編「のぞき屋のトマス」を読んだ。酒と女と競馬を愛する大学教授トマスが主人公。前作は競馬場で事件が始まったが、今度は、繁華街のポルノショップで爆発事件という派手な出だし。できればやっかい事からは、距離を置いておきたい主人公なのだけれど、それでは話が進まないので、誰かが、否応なしに、引っ張っていくのである。
前作「疑り屋のトマス」でその役を演じた文学好きのギャングは、残念ながら、亡くなってしまっていて、別れた若い奥さんがそこを担当する。でも、こういう魅力的な女性に尻を叩かれるのなら、満更、悪い気分はしないかもしれない。
今回、主人公は、大好きな競馬場での楽しみを与えられず、不動産投機とそれに伴う地上げがはびこる街の妖しげな一角を主な舞台に、ストリップ劇場やアダルトビデオ撮影現場等を飛び回り、その一方で、自らの小説処女作出版にまつわる葛藤も絡んで、忙しい。友人に新聞の経済蘭を読んでない事を非難された電話を切った後、
わたしだって、経済関係の表に目を通している。毎日、スポーツ欄の最後のページをひらき、そこの「競馬成績表」に載っている、高い危険をともなう複雑な短期投資の結果に目を配っているのだ。株価指数には歯がたたないが、馬たちの活動をしるした数字は、深い池のように、意味をもってちらちら光って見える。(のぞき屋のトマス/ロバート・リーヴズ著、堀内静子訳、1990年)
と独白するのが精一杯。
しかし、最後は、結構な大冒険。前作にも登場したギャングのボディーガードが、良い味出していて、その他の登場人物も、それぞれ、個性的。洒落た会話も相変わらず面白く楽しんだ。
のぞき屋のトマス/ロバート・リーヴズ著、堀内静子訳
ハヤカワ ポケット ミステリ
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