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「ジェラシー」を知り、大人になった?

2004年11月10日発売予定の「YOSUI TRIBUTE」に収録される「ジェラシー」。唄うのは一青窈。それぞれについての覚書。

ジェラシー
1981年発表された「ジェラシー」は、私を井上陽水の世界へ誘ってくれた入口である。寺尾聰の「ルビーの指輪」が大ヒットしてる頃の「ザ・ベストテン」に「今週の注目曲」として、登場したのが最初だった。「それまで、TVに出た事のない、井上陽水さんが、ついに!」というノリだったかと思う。

何せ20年以上前の事である。あまり強烈なイメージは残っていない。他のアイドル歌手や演歌歌手に混じって、かなり、異彩を放っていた筈だと思うが、それも覚えていない。ただ、その歌声には、魅了された。気が付いたら、すっかり、その妖しい世界に丸ごと、取り込まれていた。

君に寄せる愛はジェラシー
この高らかに唄うサビ自体、凄く新鮮だった。愛と恋の区別もつかない子供には、知らない世界への扉のように見えたのかも知れない。この世には、様々な形の愛がある事を知り、そして、愛にはジェラシーが付き物だ、という深遠な事実に気付いた時、それが、もしかしたら、僕が、大人への入口に立った時だったかもしれない。それ以来、どうも、素直な恋愛が出来なくなってしまっているようであるが。

若き日の私は、古代エジプトのヒエログラフ文字の謎に挑まんとする学者もかくやとばかりに、この歌の一言一句の調べに耳を傾ける。


流れるのは涙ではなく汗

というくだりに、極めて妄想を逞しくし、

はまゆりが咲いている所を見ると
どうやら、僕等は海に来ているらしい
ハンドバックの留め金が
外れて化粧が散らばる
波がそれを海の底へ引き込む


という、限りなく抑制された表現にとめどなくイメージを膨らませた。それは後年、競馬にのめり込み、競馬新聞の馬名と数字の羅列から、週末のレースの様子を想い描く能力が芽生え始めた最初だったかもしれない。(んな訳ないか)。

特にしびれたのが、「どうやら僕らは海に来ているらしい」という所。凄く、オトナな距離感だと思った。

その時、一つ、疑問に思った事がある。「君に寄せる愛はジェラシー」と、唄っているのだから、嫉妬する対象は、当然、「君」なのだろうけれど、どうも、そうでは、ないような気がしたのである。

歌詞を読み解けば、「僕」と「君」は、夕陽の差し込む部屋で、涙ではなく汗を流したり、浜辺を一緒に歩いたりして、一見、旨くいってるみたいではある。しかるに、三番の歌詞に入り、「胸騒ぎで夏が来るのが恐い」と唄うのである。

「胸騒ぎ」する「夏」の風景が、「どうやら、僕等は海に来ているらしい」であるのだろうか。彼女と旨くいっている未来の自分自身を想像して、それに対してジェラシーを抱いているのか?!と思い至った時、これは、凄ぇ、と思いました。

まだ現実化していない未来の事を先回しに想像して、それに嫉妬してしまうのは、判らないでもないけれど、「自分に嫉妬する」というのは、なんだ、これは。通常、他人の優れた部分をうらやましいと感じたり、愛する人の心の向きが自分以外の物に向かってしまう事に対する債疑心が、ジェラシー、嫉妬だと思うんだけど。それまで築き上げて来た論理体系がガラガラと崩れ落ちる快感。

今、落ち着いて、振り返ってみると、これは、ちょっと、考え過ぎなきらいもあり。「旨くいってるんだけれど、自ずと感じてしまうもの、それがジェラシー」でいいんじゃないかという気もする。ま、でも、実生活に於いては、本当の意味で、「ジャラシー」というものが何なのか、未だに、良く判っていないんじゃないかと思う私です。結局の所。

一青窈
さて、そんな「ジャラシー」を唄う一青窈さん。以前、音楽番組(今年初めの「Music Champ」か「ミュージック・ステーション」)にゲストで出てきた時、「陽水さんとは、札幌でのライブイベント(注)で一緒になって、終わってから、カニを食べに行って意気投合した」というような事を話してました。下記の過去記事もご参照下さい。


(注):「MIX2003 Super Session 5ホヤーズ 『Crab Kingdom~蝦夷カニ合戦~』」at Zepp Sapporo(2003/10/13)
井上陽水さんのバックバンドを勤めたりもする山木秀夫さんが率いるバンド『5ホヤーズ』(山木秀夫(Dr)、今剛(Gt)、今堀恒雄(Gt)、美久月千晴(B)、小島良喜(Key))が、一青窈、今井美樹、CHAGE&ASKA、井上陽水をゲストに迎えたイベント。陽水さんは「傘がない」、「氷の世界」を歌い、アンコールでは、全員で、Puffyの「渚にまつわるエトセトラ」の「カニ食べ行こう~」のくだりを大合唱したという。

Mix2003参考記事:
MIX2003 Super Session 5ホヤーズ:『Crab Kingdom~蝦夷カニ合戦~』~2003.10.13~Zepp Sapporo~:TURNINGPOINT
WE-MUSIC.com:Live Report:MIX2003




2004/12/12 SUN追記:
今、トラックバックを頂いた、「こころの交差点:木陰の補習教室」さんの記事にある「今回この歌をカヴァーした一青窈の、ジェラシーさえも懐かしい記憶になってしまったような歌声」というフレーズが気になっている。

そう言えば、一青窈が唄う事によって、どのような「ジェラシー」の変容が産まれてきているだろうか、なんて、気にもしていなかった。さらっと、聞き流して、丁寧に唄っているな、位で済ませていた。

私自身、この曲に対する思い入れが余りにも強く、これまで、相当、考え抜いてきたという自負心が、「ジャラシー」に対する新しい解釈を拒否してしまっていたのかもしれない。反省。改めて、じっくり、考えてみたいと思う。


あやしい夜をまって
あやしい夜をまって/井上陽水(1981.12)
「ジェラシー」収録のオリジナルアルバム

GOLDEN BEST
GOLDEN BEST/井上陽水(1999/07/28)
勿論、「ジェラシー」も収録しているベスト盤

YOSUI TRIBUTE
YOSUI TRIBUTE(2004/11/10)
そしてこれが、お楽しみのトリビュートアルバム。


    陽水トリビュート各曲覚書関連記事:
  1. 夢の中へ / TRICERATOPS
  2. 東へ西へ / 布袋寅泰
  3. 心もよう / 平原綾香
  4. リバーサイド ホテル / 奥田民生
  5. いっそ セレナーデ / 小野リサ
  6. 限りない欲望 / Bank Band
  7. カナリア / ジェーン・バーキン
  8. 傘がない / UA
  9. いつのまにか少女は / 持田香織
  10. とまどうペリカン / 松任谷由実
  11. 白い一日 / 玉置浩二
  12. ワインレッドの心 / DOUBLE
  13. ジェラシー / 一青窈
  14. 少年時代 / 忌野清志郎

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感谢管理员

Posted by: Pendaftaran | Thursday, November 24, 2016 at 08:10 AM

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